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京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 寄付講座 発達障害支援医学講座

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2019.8.5

Current Opinion in Neurologyに論文が出版されました。

Sato, W.*, & Uono, S.* (2019). The atypical social brain network in autism: advances in structural and functional MRI studies. Current Opinion in Neurology, 32(4), 617-612. [Journal Page]  * Equal contributors

自閉スペクトラム症における非定型な社会脳ネットワーク:構造および機能的MRIを用いた研究の進展

自閉症スペクトラム障害(ASD)における社会的非定型性の神経基盤を調べた構造・機能MRI研究の近年の進展について概観した。ASD群では扁桃体や上側頭溝などを含む社会脳ネットワークが非定型であるという仮説がある。この仮説と合致して、最近の構造MRI研究はASD群において社会脳領域の灰白質構造の問題を示している。灰白質共分散や白質について調べた研究からは、社会脳領域のネットワークの統合性に問題があることが示唆される。安静時脳活動を調べた最近の機能MRI研究では、ASD群において社会脳領域間の機能結合が低下していることが示唆される。同様に、課題遂行中の活動を調べた機能MRI研究では、ASD群において社会的刺激の処理の際の社会脳領域の活動と機能結合の低下が示されている。これらの構造・機能MRI研究の知見は、ASDの診断基準の一つである対人相互作用の質的障害の背景に非定型な社会脳ネットワークがあるという仮説を支持している。

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